【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】
第3章 Happy Birthday Dear Levi 2015
二人分の体重を支えている椅子がキィと音を立てる。
「・・・いつかその鼻をへし折ってやりてぇところだが」
リヴァイはニナを膝に座り直させ、唇にキスをした。
「今日のところは許してやる」
抱きしめるその手の力はとても強く、まるで“一人”になることを恐れているようだ。
「リヴァイ兵長・・・」
暗闇で誰かを探すように、口に差し込まれた舌先は不安そうにニナを求めている。
「もしかして・・・お母様の夢を見ていらしたのですか・・・?」
息の合間に聞くと、リヴァイは苦しそうに眉をしかめただけだった。
そう・・・
この時期にリヴァイが不安定になるのは・・・
「お母様との思い出が・・・一番詰まった季節ですものね・・・」
「・・・憶測でモノを語るんじゃねぇ」
「すみません。でも、私は嬉しいんです・・・」
ニナはリヴァイの首に手を回し、頭を優しく抱き寄せた。
まるで、夜に怯える我が子を抱きしめる母親のように。
「貴方にとっては大きな意味をなさないのかもしれませんが、私にとってはこの時期が・・・いいえ、今日という日がとても嬉しい」
「・・・・・・・・・・・」
リヴァイの瞳が大きく広がる。
それは、聞き覚えのある言葉だった。
「それは私だけじゃない。たくさんの人が、“今日”という日を嬉しく思っています」
きっと、貴方のお母様も微笑んでいることでしょう。
「・・・だから、憶測でモノを語るんじゃねぇって」
「なら、証明させてください」
ニナはリヴァイの頬にキスをし、心から愛おしそうに微笑んだ。
それによく似た笑顔を、かつて見たような気がする。
「そのためにずっと、兵長を探していたんですから」
ニナに手を引かれながら武器倉庫から出ると、すっかり日が落ちていた。
うっすらと浮かんでいる月を見つめていると、その儚げな白さに母の姿が重なる。