【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】
第3章 Happy Birthday Dear Levi 2015
“ 一緒にこうしてお祝いできることが、とても嬉しいの ”
母に誕生日を祝ってもらったのは、あの一度きり。
それからずっと、一人だった。
みんな、自分から去っていった。
育ててくれたと思った人間に、背中を向けられた。
心を許した人間は皆、死んでいった。
生きるために人を殺すこともあった。
そんな自分が生まれてきた事を呪う日さえあった。
でも・・・
「俺の生まれた日なんぞが、お前らは嬉しいのか?」
すると、その場にいた者全員、“当たり前だ”とばかりに頷く。
「そっか・・・」
リヴァイは俯くと、瞬きを一つ。
「ずっと昔にも・・・俺が生まれてきて嬉しい、と言ってくれた人がいた・・・」
“ 母さんが嬉しいのなら、僕も嬉しい ”
「それなのに、俺はその人に大事な事を伝えるのを忘れていた。だからせめて、今日はちゃんとお前らにだけでも伝えておこうと思う」
命を削って俺を育ててくれた、母さん。
そのおかげで、こいつらのような仲間、そして、ニナに出会うことができた。
リヴァイの口の両端が上がる。
「クソみてぇだと思ったこともあるこの世界だが・・・俺も、生まれてきて良かったと思う」
母と同じ黒髪に、白い肌。
「ありがとうな」
その笑顔は、クシェルにそっくりだった。
Fin.