【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】
第3章 Happy Birthday Dear Levi 2015
「リヴァイ兵長、リヴァイ兵長」
優しい手で揺り起こされ、幼い頃の夢から覚める。
まだ夢うつつながら目を開けると、そこにはニナの顔があった。
「探しましたよ、兵長。やはり、ここにいらしたんですね」
ニナは顔をしかめながら、辺りを見渡した。
ここは立体機動装置や移動式の大砲など、武器が保管されている倉庫。
普段は厳重に鍵がかかっているため、人の出入りがほとんどない。
薄暗くて、壁がむき出しになったこの部屋は、リヴァイにとって落ち着く場所だった。
まるで生家を思い起こさせるから、というのがその理由かもしれない。
そして、そのことを打ち明けたのは、ここにいるニナだけ。
「・・・やはりお前にも教えるんじゃなかったな。昼寝の邪魔をされるとは」
「何を言っているんです。兵長が昼寝をなさる時は、体調が優れない時か・・・」
精神的にまいっている時。
しかし、ニナはそこまでは口にしなかった。
今回は、明らかに後者の方だ。
この“時期”になると、リヴァイの精神状態が不安定になることは気づいていた。
あまりにも些細すぎて、他人には気づくことができない程度の変化。
「何をお考えですか?」
そう聞いても、きっとはぐらかすだけ。
自分の弱さを決して見せようとしない。
「別に・・・ただ、昼寝を邪魔したお前に、どう落とし前を付けてもらおうか、程度のことだ」
リヴァイは簡素な椅子に座ったまま、ニナの右手を強く引いた。
そして、バランスを崩して前に倒れ込んできたその体を抱きしめる。
「おい・・・どう、落とし前を付けてくれる?」
ここは密室。
大声を出そうが誰も来ないし、
どんなにもがいても、力でねじ伏せる。
この俺の腕の中から、お前は“去っていく”ことができるか?
すると、ニナはリヴァイの腕の中で微笑んだ。
「リヴァイ兵長こそ、どうなさるおつもりですか?」
ここは密室。
大声を出しても誰も来ない。
貴方の好きなようにも、私の好きなようにもできる。
「・・・・・・・・・・・・」
唯一、リヴァイを恐れないニナ。
たとえ、力でねじ伏せられても、この人は自分を傷つけることはしない。
その絶対的な信頼があった。