【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】
第2章 Happy Birthday Dear Eren
どこからともなく漂う、甘酸っぱい匂いが鼻を突く。
懐かしさに目を開けると、そこには髪の短いミカサがいた。
随分と身長が伸び、マフラーが小さく見える。
いや・・・違う・・・
あれから何年たった・・・?
「エレン、気がついた?」
「ミカサ・・・?」
全身が焼けるように熱い。
猛烈にダルく、ミカサに背中を支えてもらわないと起き上がることができなかった。
「大丈夫?」
「ん・・・ああ」
だんだん意識とともに記憶がはっきりと蘇ってきた。
確か、巨人化して・・・
自力では元に戻れず、ミカサと・・・
もう一人。
自分を人間に戻してくれた人物の顔を思い出した、その瞬間。
「ようやく、お目覚めか」
「リヴァイ兵長・・・」
「そのままあの世に行くんじゃねぇかと思ったぞ」
腕を組みながら壁に寄りかかり、静かな三白眼をエレンに向ける。
素っ気ないが、冷たさは皆無の言葉。
互いに心が打ち解けたとは言い難い上官だが、全幅の信頼を置ける人だ。
「今・・・いったい何時ですか?」
「もうすぐ9時になる。夜のな」
「そうですか・・・」
時間どころか、日付の感覚すら無いことから、自分が長いこと意識を失っていたのが分かる。
エレンは申し訳なさそうに大きな瞳を揺らした。
「ご心配おかけして、すみま」
謝ろうとした、その時。
「エレーン!!!」
「やっと起きましたね!」
勢い良く部屋のドアが開き、コニーとサシャが飛び込んでくる。
すると、ミカサが顔をしかめた。
「静かにして。エレンはまだ目が覚めたばかり」
「えー、でもずっと待っていたんですよ。もう早く食べたくて、食べたくて・・・」
涎をだらだらと垂らすサシャ。
エレンは状況が飲み込めず、首を傾げた。