【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】
第2章 Happy Birthday Dear Eren
「オイ、お前ら・・・いったい・・・」
すると、騒ぎを聞きつけたアルミンとジャンも部屋に入ってきた。
さらにその後ろから何かを持って現れたのは、ヒストリア。
「ヒストリア・・・それ・・・」
甘酸っぱい香りが部屋に広がる。
途端、懐かしさが込み上げてきた。
ヒストリアが抱えていたのは、木苺のケーキ。
「ミカサが作ったんだよ。日付が変わらないうちに目覚めて良かった・・・ 」
アルミン、ジャン、コニー、サシャも微笑む。
そして、ミカサが躊躇いがちに口を開いた。
「エレンが10歳になった日、教えてもらった。あの一度きりだったけれど・・・」
布団の上に置かれたままのエレンの手を握る。
「今日は3月30日」
懐かしい香り。
温かい手。
笑顔。
「・・・・・・・・・」
5年前のあの日、失くしたものとばかり思っていた。
「おばさんと同じ味かどうかは分からない。けど、食べて」
母親が作ってくれた、木苺のケーキ。
失くしたものとばかり・・・思っていた。
今日という日を祝ってくれる人。
「エレン」
自分を囲む、仲間、幼馴染、上司。
「お誕生日、おめでとう」
驚きで、大きく開いた緑色の瞳。
照れ隠しのためか、眉間に寄ったシワ。
しかし、エレンはとても嬉しそうだった。
「ありがとう」
自分が生まれたことを喜んでくれる人がいるとは思わなかった。
自分のせいで傷ついた人が大勢いる。
それなのに・・・こうして誕生日を祝ってくれるとは・・・
切り分けられたケーキを一口食べれば、懐かしい味が広がる。
記憶の中の、母さんが作ってくれたケーキと同じだった。