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【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】

第1章 Happy Birthday Dear Levi




この腕の中の存在。
どうしてただ抱きしめるだけで、ここまで心が満たされる?

しかし、同時に心の中に巣食っている恐怖が大きくなる。


「俺は・・・別に幸せになどなれなくていい」


もし、願うことを許されるなら、それはたった一つ。


「幸せになれるはずだった、たくさんの命を救えなかったからな」


どうか、この腕の中の命だけは・・・


「兵長・・・」

苦しそうに表情を歪めて戦死者のリストに目を落とすリヴァイの頬を、優しい手が撫でる。

「それでも私達は、貴方がこの世界に生まれてきてくれたことを感謝しているんです」

「・・・・・・・・・」

「貴方がいなければ、幸せになれるはずだった“さらに”多くの命が奪われていたでしょう」

「ニナ・・・」


二人が出会ったのは、ファーランとイザベルを失った後。
自身も傷を負っていたリヴァイを手当てしたのが、ニナだった。

医療班に所属する、気が強く心優しい女兵士。
その笑顔は、凍てついたリヴァイの心を少しずつ溶かしていった。

いつしかリヴァイはニナに惹かれ、ニナもまたリヴァイに惹かれた。
そして互いにとって特別な存在となるまで、そう時間はかからなかった。


「だから、私たちは貴方の誕生日を祝いたいのです」

「・・・だが、俺は人が生まれた日よりも、人が死んだ日の方が重要だと思う」


あるはずだった未来を失い、志が途絶えた日。
その意志を継ぐことが大事だ。

だからこうして、壁外調査を終えるたびに死んだ人間の名前を口にし、その顔を思い出す。
彼らが生きた証を胸に刻むために・・・




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