第2章 ラブホテルにて
何も言えずに抱きしめることしか出来なかった自分に焦れたのか、冬乃は服の下に手を滑り込ませた。
「あかん!やめろ!冬乃!」
叫んでも止めない。力を入れてもびくともしない。あれ、冬乃って、いつからこうなっちゃったんだ。
「大好き。初夏、愛してる。」
まるで呪文のように愛を囁き自分の名を呼ぶ彼女にはもう自分の声は届いていない様だった。
tシャツを鎖骨にまでまくり上げ乳首を舐めたり甘噛みする彼女は酔いが醒めた時どう思うのだろう。いや、もしかすればとっくに酔いなんか醒めているのかもしれない。だがそんな彼女とは裏腹にこちらには酔いが回ってきた様で力も入らなくなっていた。
「んっ、あっ、冬乃っ、せめて、おふろ…」
「だめ。初夏はウチのものやから。」
いつから冬乃のものになったんだ自分は。そんなことを考えていても無意識に声が漏れてしまう。
「初夏、すごくえっちな声…」
やらしいセリフを吐きながらキスをしてきた冬乃は、獲物を狩る肉食動物の様な目をしていた。