第2章 ラブホテルにて
訳がわからず冬乃の泣き顔を見つめることしか出来なかった自分に、冬乃は叫んだ。
「何で!?何で好きになってくれないの?昔っからずっと初夏のこと好きだったのにっ!ホテルにまで来といて…そんなのって、無いよ…」
どうしたらよいのかがわからず、とりあえず冬乃の涙を服の袖で拭ってやると、再びキスをされた。今度は拒めなかった。
「初夏はさ、彼氏作っては別れての繰り返しでさぁ、だから次別れたら告ってやろうとかも思ってたんだよ?なのにどう?結局初夏はそん時までの取っ替え引っ替えが嘘みたいにさ、出来た彼氏とめちゃめちゃ続くしっ、おんなじ高校行けるかなとかも思ってたのに急に初夏は頑張っちゃってさ、結局レベル高いとこに合格したよね。付き合ってる相手の為に二百点も上げるって凄いよね。んで久々に中学校の仲間等と集まろってことになってさ、そっからちょくちょくウチ等会うようになってさ、やっぱ、初夏のこと好きだって感じちゃって。でも初夏はずっと付き合っててさ。何年?六年ちょいだよね。凄いよね。ウチ入る隙間すらないじゃん。笑っちゃうね…」
自分に喋らす隙を見せない為か、興奮している為なのかはわからないがいつもより早口で声色も低く語尾が震えており、どうしても彼氏が居るからの理由だけでは冬乃を拒否できなかった。
軽く抱きしめてやると冬乃は自分の胸に顔をうずめて、少し声を出しながら泣いた。
ここまで自分の事を想ってくれていたなんて、考えもしなかったので少し戸惑いもある。それに答えは決まっている。だから変に勘違いをさせてしまうといけないのだがこのまま冬乃を放置してはいけない気がしたのだ。
「…好きだよ初夏、ほんとに大好き。」