第2章 ラブホテルにて
「冬乃ー、どの部屋がええ?」
おきているのかはわからないが一応声をかける。
「んにゃー?あー、207がいいー!」
冬乃の希望した部屋は、まぁ小奇麗な感じで少しホッとした。酔ってるとは言えSM部屋なんか希望されたらどうしようと思っていたのだ。
フロントから鍵を貰い部屋に入るとそこはパネルで見た感じの、小奇麗で思ったよりも少し広いかなと言う部屋だった。
ベッドに冬乃を下ろし、さあ風呂でも入ろうかと思っているといきなりベッドに押し倒された。
何かと思えば冬乃がゴミでも見るような顔で自分を見下ろしていた。
「冬乃…?」
「初夏…」
やばい、ホテルに連れ込んだと思われてる!?殴られる!!?心の底でそう感じ反射的に目を閉じた。
すると唇に柔らかい感触が伝わって来た。
「冬乃 !お前酔いすぎだってば…」
そう叫び押し退けようとしたが、無理だった。自分が小柄なこともあってビクともしない。
「やだ!ええ加減に、せぇっ…!」
唇を再び近づけてくる冬乃から顔を背け叫ぶと、頬に冷たいものが落ちてきた。
見ると、冬乃は泣いていた。