第4章 Similar to confession
気付けば、ローが働く病院の駐車場──ローの車の横に、立っていた。
ここまでどうやって来たのか記憶を辿ろうとしても、色々な感情に襲われていたことしか思い出せず、すぐに諦めた。
いくら考えても。
色々な方向から考えても。
結局最後は同じ考えに辿り着いてしまう。
鼻と唇が、ふるりと震えた。
泣かない…
泣かない…。
そう、自分に言い聞かせながら、唇を噛み締めた時だった。
「アオ?」
暗闇から聞き慣れた声が聞こえた。
顔を上げると、少し離れた所に、ローが目を見開いて立っていた。
遠慮がちに右手を上げて左右に振ると、ローは車が来ないかと駐車場の奥を見ながら、こちらに向かって歩いてくる。
…やっぱり素敵だなローは。
歩いてるだけなのにかっこいいし、そんな姿見ただけで胸がキュンってなるのはローにだけだよ…。
「どうした?」
わたしの前で立ち止まったローは、いつものように眉を寄せていた。
「ゴメンね。急に…」
「……いや。」
「…えっと。…」
「………。」
「…あのね、」
「待て。」
「え?」
「飯でも食いに行くか。話ならそこで聞く。」
ポケットを探って、チャリ、と鍵を取り出しながら、ローはいつになく穏やかに言った。
鼻の奥がつーんとする。
涙を誘惑するあの感覚。
…どうしてそんなに優しいの?
「…ロー。」
運転席に乗り込もうと扉を開けたローは、ふと動きを止め、私を見た。
「アオ?」
「…ローって、私の…恋人なのかな?」
「…は?」
「私の事…好き…??」
「………」
隈が主張する目で、私を凝視する。
こんなこと今まで聞いたことはないから、ローも面食らっているのだろう。
「くだらねぇこと聞いてんじゃねぇ。
早く車乗れ。」
表情を変えずにそう言い放ち、ローは私の腕を掴んだ。
逆に私はローの手に自分の手を重ねて、それを制した。
怪訝そうに私を見下ろす。
その視線に耐えられず、俯いた。
「アオ…お前…」
「ロー、私…疲れちゃった。
……もぅ、やめたい。」