第4章 Similar to confession
その赤い痕....キスマークは、ローの鎖骨の下辺りにつけられていた。
こんなところ、虫に刺されるようなところじゃないし、そもそも・・・
これは明らかに、キスマーク・・・・鬱血してる痕だ。
私も何度かローに付けられたことがあるから、分かる。
「・・・・・・アオ?」
頭上からローの低い声で、私はビクっとして思わず手を離し、はだけたシャツを元に戻した。
「ご、ごめんッ!!
・・・・・本当に変態になるとこだった・・・」
あは。と乾いた笑い漏らしながら、ボタンを留めようとするけど、手が震えてなかなかうまくできない。
___どうしよう。
___何で
___誰と
___まさか
___うわ、き・・・?
付き合って史上最悪なフレーズがポンっと頭に浮かび、今にも泣きそうになる。
「・・・・アオ」
ボタンを留めようとする震える手を、大きな手で制するように握られる。
口を開いたら泣いてしまいそうで、喉が苦しくて、唇をかみ締めた。
「ッ、ごめ、ロー・・・私、ちょっと、用事思い出しちゃった・・・!!」
「は?お前何言って・・・「ごめん!!また連絡する!!」
ローの顔を見ないまま、ボタンも結局留められないまま。
私は自分のバッグを持って、急いで部屋を後にした。
リビングを出るとき、「アオ!」とローが呼んでくれたけど、もう何も返せなかった。
ただ走って。
混乱した頭の中で唯一、くっきりと浮かんだ映像は・・・
ローがあの男らしい手で、知らない女の人に触れているところ。
___嫌だ。あの手で触れる女はあたしだけじゃないの?
ローが浮気なんて考えたことなかった。
そりゃぁ、高校時代は女にだらしなくて、大学時代もかなり遊んでいたとは聞いていた。
だけど、こうして付き合いだしてからは、女の人の影を感じたことなんか一度もなかったし。
いつも大事にしてくれたから。
____やだ。
____やだよ。・・・ロー・・・