第1章 1.warmth
次の日
少しだけ仕事が長引いて、急いでかえる準備をしていると携帯が震えた。
”近くの駐車場で待ってる。”
ローからの短いメール。
ローの職場から家にまっすぐ帰ったほうが近いのに、反対方向にあるあたしの職場にわざわざ迎えに来てから一緒に帰るというローの優しさに触れて嬉しくなる。
早く会いたくて、帰る準備を素早くしてローのもとへと急いだ。
会社を出てすぐ近くにある駐車場に見える黒いベンツのゲレンデ。
中で本を読んで待っているローが見える。
ほんと、何してもかっこいい・・・
つい、立ち止まってそんなローを見つめてしまっていた。
見つめすぎていたのか、あたしの存在に気づいたローが読んでいた本を閉じ車のエンジンをつけだした。
あたしは我に返って、ローの来る前と駆け寄り助手席に乗り込んだ。
「お疲れ様、ロー。
わざわざ迎えに来なくても家で待っててくれたら良かったのに・・でも、来てくれてありがと。」
シートベルトをしめながら、ローに話しかける。
ありがと。と一緒に笑顔を向けるとすぐ側に整ったローの顔。
「あんまり、見つめんなよ。」
クククと片方の口角を上げて意地悪く笑うロー。
ローに見とれていたことに気付かれていたあたしは恥ずかしくて顔が熱くなる。
「気付いてたのーーーーーー?!!!!...////」
「当たり前だろ。あんだけ見られてたら。ククっ。」
「~~/////。」
「まぁ、見られてるのは慣れてるからな。
腹減った。帰るぞ。」
・・・ズキ。
見られるのには慣れてる。
まぁ、一緒にいても痛いほどローへの視線が多いことはわかってる。
そのたびに隣にいることに不安が募る。
隣にいるのに価しているのかな・・あたしって、って。
「どうした?」
少しだけ小さなため息が出たのを聞き逃さなかったローがあたしに尋ねる。
ローに会うの久しぶりなのに
変なこと考えちゃダメ。せっかくのローとの時間楽しまなきゃ。
そんなことを思ってローには
なんでもないよ。って笑顔をむける。
ちょっと仕事で疲れちゃったかな~。なんてありきたりなセリフでその場をごまかした。