第2章 最悪運者の目撃
『結局、日向にトスあげてやったんだね』
「そのあと吐いたけどな、体育館で」
『……え、やばいじゃんキラキラ補修入れた?ねえ効果音まで入れた?すんごく見たかったんだけどそれ』
「やめろ思い出すから……」
あらま、ほんとに嫌そうな顔。それでも私はそんなおもしろい日向くんが見たいものですので散々茶々入れしてやった。
なんとも晴れた日、まぁ体育館でやるから晴れようが曇ろうが雨が降ろうが雪が降ろうが関係ないんだけどね。
そんな日向くんネタで散々影山と話してたら、後ろからなにやら怪しげな叫び声
「うおっらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
みたいなやつ、そしてそのあとすぐびゅんっと私たちの脇をまるで疾風の如く通り抜けていったのが、なんと日向くん。
気合入ってますね、うちの余裕綽々の影山くんと大間違い……とか思って影山見たら、影山の目の色変わってたなんて私は見てないぞ、見てない。
「っ待ちやがれ日向ボケ!!!」
『は?ちょ、お前ら試合前になに競走とか……って影山私の腕掴むなクソがぁぁ!!』
そのまま、日向くんに追いつくほどの勢いに任せて走り出した影山に、腕を掴まれていたのが幸い、このあと日向くんのリバース説に納得するほどの吐き気に襲われたのは本当に忘れたい記憶、体験である(後日談)