第2章 最悪運者の目撃
「くそっ……引き分けかよ」
『ここまでお前らのペースで走り続けた私に賞賛の言葉は……』
「お前だけには……っ絶対負けねぇ……」
『間をとって私一番でいいじゃん』
やく正門からこの体育館の入口まで全速力。我ながら走りきったと思う。
あれ、なんだろう頭くっらくらする。体もなんかだるい。
「今日は絶対勝つ!」
「早く準備すっぞ」
このコンビは相変わらず不死身のような勢いの回復だった。現役女子高生いたわれよ。
『お前らいいコンビだな』と息絶え絶えの中で呟いたら「「は?」」とか返されたあたりチームワークのちの字もなさそうだけど。
「おはよう、王様」
そして、聞き覚えのある声とフレーズ。
まだこの高校に影山のこと“王様”って呼ぶやついたんだなとか思ってたら昨日のツッキーで。
でも影山が思いっきり掴みかからなかったあたり彼も成長したはずなのでは、それでも彼の目つきは悪いままだった。なにこの四人対面済み?
なにもわからない私はこの四人の視線の交わりを呆然と眺めていた。