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恋しちゃってるようで

第2章 最悪運者の目撃


『こ、こんばんわ』

「おー!じゃねぇか!」

「お、きたきた。てっきり忘れられて帰ったかと思った」



体育館に入った瞬間、気がついた菅原さんと暑苦しい田中さんにまで声をかけられた。

ごめんなさい菅原先輩、帰る予定でした。



『田中さんくっそ暑いんで近づかないでください』

「うるせぇ!これが常温だ!」

『それが暑い!』



受験のために、少し早めに引退したマネージャー。
正確には六ヶ月くらい体育館に入っていないのでこの熱気はなんとも懐かしい。


どこのバレー部の人も、汗を流したその姿で近寄られれば熱気を感じたし、目の前でスパイク練習とかされればボールが飛んでこないかなとか冷や冷やしたし。

しみじみとこんな私が物思いにふけるなんて、らしくない。



その思い出の味は、否定した意識の中で無味でつられて流した汗に流れた。
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