第2章 最悪運者の目撃
その日の帰りは生憎影山はジャージに着替えたあと荷物をひったくって勢い良く教室から出てった。
それはほんの三秒前にものすごい勢いで同じくわたし達の教室を通り過ぎてった日向くんが見えたからだと思う。
どんだけ日向くんと競い合ってんだ馬鹿か。
『ってことはバレずに帰れるじゃない』
気分が晴れた、よかった影山がほんとアホで。
日向くんも、無意識の煽りありがとう。
「ー」
ほんの一瞬、喜びに浸った私の表情筋がぴくりと痙攣した、嫌な予感しかしない担任からの呼びかけ。
「部活見学予定ないなら、これ運んどけ」
担任の教卓には、私の帰路を遮る。とてつもなく大きな壁(学校資料)
「図書室までよろしくな」
『先生、無情ですね』
この量は、二回往復かな……とぼんやり考えたまま、そっと先生に警戒の眼差しを送った。