第2章 最悪運者の目撃
『先輩にもさ、なんか入部するとか勘違いされてるしなんなの、』
「あぁ、俺が最初に行ったときに話持ち出したらよろこんでたぞ」
『お前ほんとちょびぃな』
「マネージャーがいま三年生の一人しかいないんだとよ」
最高学年のひとりしかいないってどんな状況。
しかも先輩、女子の。
私の頭の中ではもう高校生の女の先輩と言ったら漫画的なフィクションに染まったドロドロとした先輩像しかなくて
そのときは相当嫌な顔を影山に向けていただろう。後にその考えを改めることも知らず。
「マネージャー、独りが大変なのはお前がよくわかってんだろ」
『そうだけどね、そこまで人に同調するほど私生活に余裕無いんだけど』
「とにかく」
ぐっと持っていた、押し問答で私が受け取らずに争っていた入部届けを胸に押し付けられて、くしゃくしゃとした紙が更に原型をとどめぬ形に歪んだ。
「俺が、新入生の試合に勝ったらマネージャーやれよ」
彼との掛け、無謀な約束成立。