第11章 光
「風間の坊主。天には、もう会ったか?」
「……蓮水天のことか。生きていたか」
「そうだな。俺はつい先日、江戸で再会した。驚いたよ、とても。同時に面白い話を耳にしたんだがな?」
「ふん。聞いてやろう」
「志摩子は今、お前の傍におらず新選組と共にいると聞いたが?」
「それがどうかしたか」
「お前……志摩子をどうする気だ?」
風間の目的を探るように、栄は鋭く彼を睨み付ける。しかしそれに動じないのは、流石といったところか。
「俺があれをどうしようと、もうお前達"護身鬼(ごしんき)"には関係のないことだ」
「……そういうわけにはいかないさ。俺達は、志摩子を守るために生と名を与えられた守護の鬼なのだから」
「蓮水の女鬼を守る五芒星、守護の五つ名。一つを栄、もう一つを天。残り三つは……今どうしている?」
「それをお前に教えると思うか? 風間の坊主よ。志摩子は、永遠に蓮水の呪縛から解き放たれることはないんだよ。それがあいつの身の安全のためでもあり、蓮水が繁栄し続けるために必要なことだ」
「所詮お前達は、都合のいいような言葉を並べて志摩子を縛りつけているだけに過ぎん!!」
風間は抜刀すると、不愉快そうに刃を栄へと向けた。栄は一歩も動かず、ただ黙って風間を見つめていた。