第7章 聲
「副長! 御無事ですか?」
「ああ、大丈夫だ。お前達こそ、大丈夫か? 早く屯所に戻ろう。近藤さん達に報告だ」
「はい」
土方は手負いの隊士達と共に、ようやく屯所へと辿り着くのだった。
天という男、素性も知れず目的さえもまったくわからなかった。ただ一つわかることと言えば、あの男が……――志摩子を知っていたということだけだった。
屯所に戻った土方は、すぐに報告をするために皆が集まっているであろう部屋に向かった。
勢いよく戸を開ければ、中では皆が食事をしていた。そこには、志摩子の姿もある。どうやら、無事に山崎が送り届けてくれたらしい。土方は、誰にも知られぬように小さくほっと息を吐いた。
「今戻った」
「ああ、おかえりトシ」
「おかえりなさいませ、歳三様」
志摩子は慌てて席を立ち、土方に頭を下げる。その行動が、どんな思いをもってしてなのかどことなく理解していた土方は眉を下げ志摩子を見つめた。
「ああ、ただいま。まぁ、なんだ……座れ志摩子」
「あ……はい」
土方もその場に腰を下ろすと、皆に目を向けながら静かに話し始める。
「まず、山南さんのことだが……見たところ想像よりかは酷い傷だと思っていい」
「そうか……トシは、怪我はないのか?」
「ああ、それは大丈夫だ。それでだ……山南さんに怪我を負わせた奴なんだが、妙な男でな……背丈は平助に近い」
「俺に? ってことは……」
「小柄な、少年って表現が正しいかもな」
「俺が小さいって言いたいのか! 土方さん!」
「平助、落ち着け」
原田に宥められ、藤堂は渋々口を閉ざした。