第5章 陽
準備が出来た所で、手分けして皆で食事を各部屋へと運んでいく。通常の隊士達は大部屋で皆で食べる。しかし幹部は違う、別の部屋で集まって食べるのだ。は今此処では土方の妹ということになっている、自然と幹部の部屋に招かれた。その場に千鶴もいてくれたので、は特に緊張を見せなかった。
一通り食事が運び終わり、皆が席につく。当然というか、は土方の隣に腰掛けた。
「土方さん、今くらいはちゃんを隣に置くのやめてもらえませんか? ほら、幹部だけなわけだし。ちゃんが何処に座るかは彼女に決定権がありますよね?」
「ああ? 別に俺は強制した覚えはねぇよ。こいつがちゃんと自分の立場をわきまえた上で、こうしてるんだろ。文句あるか?」
「うわぁ、そんな人の隣じゃなくてこっちおいで、ちゃん」
「え?」
「総司、をからかうのはよせ。困っている」
「じゃあ、ちゃん一君の隣に座る? ほら、君達一応顔見知り何でしょう?」
「確かにそうですが……」
が助けを求めるように、土方の方を見れば「勝手にしろ」と小声で答えられてしまった。
「よし、なら君は俺の隣に座ればいい! 万事解決だ!!」
「なんで近藤さんの隣!!?」
近藤を慕っている沖田は、勿論反論した。なんだかだんだん騒がしい食卓になり始めた頃、土方が「いただきます」と手を合わせ周りを置いてけぼりにして食べ始めた。は改めてその場に座り直し、土方に習うように手を合わせた。
まるで何事もなかったように食事を始める土方とに、周りはいつの間にか呆気にとられ動きを止めた。それさえも、二人はもう気にする様子もない。