第5章 陽
「さっきのお前に見惚れてたのが藤堂平助、あいつをぶん殴ったのが永倉新八。二人共幹部だから、お前の事情は知ってる。何かあれば遠慮なく頼ってくれ」
「は、はい! 宜しくお願いします左之助様」
「あ――その呼び方、いいね」
「……?」
「そんじゃ、早いとこ朝食の準備でもするか」
「そうですね」
「あれぇ? 朝食まだなの? 早くしてよ」
ちらっと顔を出したのは、沖田だった。
「お、丁度いいとこに。、あいつは沖田総司。絶対近付くなよ、斬られるかもしれないからな」
「斬られる……?」
「ええ? 僕これでも女の子には優しいと思うよ? 特に、一君が気にかけてる女の子なら尚更優しくしちゃうんだけどなぁ」
張り付けたような笑顔で、沖田はに近付いて行く。は緊張した面持ちで、沖田を見つめ返す。
「宜しくね? ちゃん」
「はい……宜しくお願いします、総司様」
「……。僕、部屋に戻ってるね」
早足に台所を出ていく沖田をは見送っていると、急に原田がぷっと笑い始めた。
「どうかしましたか? 左之助様」
「いや……総司の奴も、可愛いとこあるんだなって」
「可愛いところ、ですか?」
「お前、あいつに会う度にもっと名前呼んでやればいいよ。面白いものが見れる」
「……よくわかりませんが。わかりました」
千鶴と原田、そしての三人で朝食の準備が手早く進められる。