第5章 陽
「あ? 平助、どうした」
何事かと土方が藤堂の顔の前で、ひらひらと手を振る。しかし藤堂の視線は、何故かに釘付けだった。土方と千鶴は顔を見合わせ、同時に首を傾げた。彼に何があったというのだろう? そう思っている矢先、ぽつりと藤堂は呟いた。
「綺麗だ……」
「え?」
はきょとんとした。同時に、藤堂の背後から誰かがやってきて思い切り彼の頭をどついた。
「いってー! 何しやがる新ぱっつぁん!!」
「平助がちゃんに見惚れてるからだろ?」
「はあ!? み、み、見惚れてねぇし!!」
「顔真っ赤じゃねぇか!!」
「ちげぇよ!!」
バタバタと二人は台所を出ていった。不意にちらりとが土方を見上げれば、眉間に皺を寄せて目が座っていた。怖い!! 明らかに怖い! がゆっくり土方と距離を取る。途端、とんっと誰かにぶつかって勢いよく顔を上げた。
「お、あんたがちゃん? 俺は原田左之助宜しくな」
赤い髪を後ろで一つに束ね、少し露出度の高い色気のある男。それがにとっての第一印象だった。原田は「ん?」とにっこり笑ってをじっと見つめた。
「そんなに見つめられると、流石の俺も照れるな」
「え!? あ、いえ……そんなつもりは」
「土方さん、新八と平助は任せたわ」
「……おう」
土方はゆらりと台所を出て行った。