第38章 動
「千鶴ちゃんは? あの子は、どうしたの……」
「平助と共に、綱道さんの羅刹隊に連れ浚われた。だから、羅刹隊を追って俺は一人此処まできたんだ」
「へぇ、それって千鶴ちゃんのため?」
「……放ってはおけねぇだろ。それに、山南さんが綱道さんに協力しているらしいからな。尚更野放しには出来ねぇ」
「そう。だったら、土方さんは仙台の仙台城に向かって下さいね。そこに羅刹隊が集まってるみたいで、一足先に一君が向かってるよ。何故か風間と一緒に」
「風間と? なんだそれは……何の冗談だ」
「冗談ならよかったんですけどね! あははっ」
再び、二人を取り囲むように羅刹の気配が集まり始める。構える土方に、沖田は手で制して言い放つ。
「此処は僕に任せて、土方さんは仙台城に行って下さい」
「何言ってやがる!? そんな身体で、お前戦うつもりか?」
「そうですよ。僕は……新選組一番組組長、沖田総司ですからね。最後の最後まで、新選組の沖田でいさせて下さい」
「お前……」
「志摩子ちゃん達に宜しく」
「総司……っ!!」
沖田は一気に羅刹の姿へと変わり、羅刹隊に斬りこんでいった。土方も参戦したい気持ちが膨らむが、沖田が残した言葉を脳内で反芻させぐっと堪える。土方は沖田の姿を目に焼き付けて、再び全速力で走り出す。
向かう先は、仙台。仙台城だ。
◇◆◇
沖田のお陰で、二人はようやく仙台に入り仙台城に辿り着いた。しかし羅刹の警備は厳しく、真正面から飛び込むのは不可能に近い。