第4章 闇
「私は一刻も早く、父の安否を確認したいんです。あ、そういえば……志摩子さんはどうして屯所に身を置くことになったんですか? 私が言うのも変ですけど、新選組の皆さんは情で置いて下さるような方々ではないと思うのです」
「そうですね……言ってしまえば、捕虜として一種の人質のつもりなのだと思います。私が此処にいれば、千景様がいずれ現れる可能性がありますから」
「千景……あの例の、沖田さんを襲った人のことですね!?」
「らしいですね」
志摩子は目を伏せる。風間の名を口に出せば、少しだけ寂しさと不安が押し寄せてくる気がした。
すると、突然千鶴が志摩子の手をぎゅっと握った。
「千鶴様……?」
「大丈夫です! あの、確かに怖い人達ばかりかもしれませんが……根はとてもいい人達なんですよ! 志摩子さんをわざわざ土方さんの妹として、この場に置くくらいですからそんな酷い扱いはけしてすることはないと思います!! だから、安心して下さいね」
「……ありがとうございます、千鶴様」
千鶴の手がとても暖かくて、風間とはまた違うぬくもりに志摩子は微笑む。彼女がこの場にいてくれなければ、自分は様々な思いに押し潰されていたかもしれない。
そう思えば、土方がこの部屋に一緒にしてくれたことを感謝した。
◇◆◇
一方、土方の部屋では斎藤が一人戸を開け入ってきていた。