第35章 誓
何度朝を繰り返したのでしょうか。見る夢の中には、彼らの姿を映り込んで私は目を醒ます。遠ざかっている彼らの背中に私は一人手を伸ばす。けれど伸ばした手は透明を掴んで、消えていく。私は今日まで、何を見て来たのかと己に問う。
「あら、志摩子ちゃん起きてたの?」
「あ……はい」
「新選組の新着情報、届いてるわよ。聞く?」
「はい! お願い致しますっ」
寝床から起き上がり、私は今日もらん様から教えて貰う新選組の現状を聞かされる。その度にどうして私は、一人このような場所にいるのだろうと思うのです。勿論、足手まといが場を離れるのは至極当然のこと。ええ、これが彼らのために繋がるのなら……。けれど……。
「まぁ、正直あんまりいい現状じゃないわね。志摩子ちゃんも、あんまり気を落とさないようにね? あくまで得た情報に過ぎないし、もしかしたら誤情報の可能性もなくはないから」
「でもらん様の元に届く情報は、信憑性の高いものが多いと伺っております。信頼のおける者に、情報を提供し供給もしていると」
「……その通り。アンタって、余計なことばっかりしっかり覚えてるんだから!」
らん様の情報が正しければ、新選組は今江戸にいるそうです。どうやら内部分裂が起きているらしく、新選組の均衡は崩れ始めているのではと。すぐに駆けつけて、皆様の安否を確認したい。とは思うものの……そんなことが許されるはずもなく。
未だ持ち続けている小刀のことを想う。こちらに来て、洋装へと変わりすぐ手元に小刀を置く術を失ってしまった。出来るだけ持ち歩ける服を選んでは頂くものの、この時代です。意味はないと言われしまい、返す言葉もありません。