第4章 闇
「目的は、人探しです。その人がこの都にいるかもしれないという情報を得て、やって参りました」
「それは……お前の仲間なのか?」
「いえ、違います。しかし厳密には仲間……とも言えるかもしれません。家同士が知り合いなのです。ただ当の本人同士はたぶん、それ以上の関係はありません」
「お前と風間は、どういう関係だ?」
「そのまま家同士が知り合いで、千景様とは幼馴染に近い関係にあります。箱入り娘であった私を、彼は広い世界を見せてやる……と連れ出してくれたのです」
「風間の目的はなんだ?」
「……私にも、それはわかりません。探し人が見つかった後、彼がどうするのかも……私は聞かされておりませんので」
「そうか……」
土方は近藤と山南に目配せする。どうやら、志摩子は嘘をついていないと理解したらしい。けれど風間の目的も知らず、池田屋での出来事も何一つ知らないらしい。
「じゃあ、お前は何故あの押し入れに隠れていた?」
「隠れていたつもりはないのですが……騒々しい音が聞こえて来た途端、千景様は私に此処にいろと……そう仰って、私を押し込めたのです」
「……大事な存在であれば、ちゃんと連れて行くのが普通だよな。どうしてお前はあの場で、風間に連れられることなくその場に残されたんだ?」
「……わかりません」
志摩子はきゅっと唇を噛んで俯いた。それに関しては、一番志摩子が知りたいはずだ。元々志摩子を適当に巻き込んで、置き去りにしたかったのか……本当は妻としても必要ではなかったのか。いくら考えた所で、勿論答えは出なかった。