第4章 闇
新選組屯所。傷だらけの隊士を看病する者、慌ただしく駆け回る音、様々な音と怒声に溢れながら志摩子は土方と斎藤に連れられ一つの部屋へと入る。
「そこに座れ、志摩子」
「……はい」
斎藤にそう言われ、志摩子は部屋の真ん中で腰を下ろした。斎藤もまた、腕を解放しないまま、共に腰を下ろす。志摩子の目の前には、未だ血の浴びた羽織を身に纏っている土方が座る。
あまりにも生臭い匂い、生々しい血。どれも今まで感じたことも、知ることもなかった非日常に近い光景に、志摩子は何処か眩暈がする思いでいっぱいだった。だがしかし、今此処で意識を手離せば二度と目覚めない可能性がある。
恐怖心を押し殺しながら、それでも瞳は恐怖揺れながら、じっと土方の瞳を見返した。
暫くして、また志摩子の見知らぬ男が二人が部屋へと入って来た。
「斎藤君、後は私達が彼女の処遇を決めますので君は下がっていいですよ」
「わかりました」
斎藤は去り際に志摩子を見るが、視線が合うことはなかった。肩まで伸びた栗色の髪に、眼鏡をかけた男と沖田と似た髪型をしたがっちりした男が入って来た。一気に志摩子に緊張が走る。