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薄桜鬼 蓮ノ花嫁

第28章 鬼



「護身鬼は、我ら鬼にとって禁忌の一つ。護身鬼は血の契約を持って、主を守る役目につきます。ですが……主に危険が及ぶたび、その者達は胸元に華の刻印が浮かび同時に耐えがたい痛いに苛まれます。身を持って、主の危険を察知するのです。けれどそれは同時に、何度も耐え難い痛みに晒されるということ。そうなれば、やがて精神は崩壊していくでしょう」

「護身鬼は、危険なのか?」

「危険です。確かに護身鬼のお陰で、主の命が守られるのかもしれませんが、一度均衡を崩せば護身鬼は自らの痛みからの解放を求め、主を殺しに来るでしょう。天をご存知ですね?」

「ああ、知ってる。志摩子の義弟、とか言ったな」

「彼は幼い。それ故に、護身鬼にさせられどの護身鬼達よりも先に、精神崩壊を起こしました。そして……来るべき時に備え、研究の一部を持ち出し蓮水から姿を消したそうです」

「だが今、あいつは先日も俺達を襲いに来た。どうやら目的は志摩子を連れて行くことらしいがな」

「蓮水の家を出たことで、志摩子さんは何度も危険な目に遭っているはずです。そのせいで、護身鬼達にその伝達はされているはず。だとすれば、痛みから解放されるために一刻も早く保護オするか……殺すことを選ぶでしょう。蓮水に戻っても、結局は今までと同じ。志摩子さんは、二度と外を見ることはなくなるでしょう」


 千姫は心配そうに志摩子を見ては、手を伸ばし志摩子の手に触れた。あまりにも濃い内容に、流石の志摩子も戸惑っているようだ。何も言葉を発しようとはしない。

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