第19章 道
「お、お前ら何してるんだ」
「歳三様。おむすびを作っているところなのです」
「おむすび……。二人でか?」
「副長、これは特に深い意味はなく! ただ総司に持っていくおむすびを志摩子が作り、俺が隊士達の分を分担して作っていただけに過ぎず……」
「いや、別にそこまで詳しく弁解しなくてもいいんだが。というか、総司の野郎は志摩子に飯を押し付けて一人のほほんと部屋で待ってやがるのか?」
「私が率先してやっていることなので、お気になさらないで下さいね」
このままでは土方は沖田を叱るのは、そう思った志摩子は咄嗟に彼を庇うために言葉を選びながら発した。それさえもたぶん、土方には見抜かれていた。
「まぁいい。俺も一緒に作る、ちょっと場所空けろ」
「「えっ」」
思いがけず志摩子と斎藤は声を合わせた。
「なんだ、俺が一緒だと邪魔だってか?」
「そ、そんなことあるはずないじゃないですか! ですよね、一様」
「あ、ああ……。副長も手伝って頂けるというのであれば、是非」
「……俺がおむすびを握るのがそんなに珍しいかよ。けっ」
斎藤、志摩子、土方の並びで静かにおむすびを握り始める。とても異様な光景だ……。志摩子はそんなことを考えながら、おむすびを握り終えるのであった。
いち早く終わった志摩子は、お盆にお味噌汁とおむすびの皿を乗せた。