第18章 病
「……結論から言おう。お前のさんの病は……――」
「……やっぱり、そうですか」
志摩子の目が見開かれていく。
柱に背を預け、彼に気付かれない様にとしっかりと身を隠す。
「今すぐ新選組を離れるべきだ。空気の綺麗な場所で、療養した方がいい」
「新選組を離れる……? それは出来ません。僕にとって新選組は、生きる理由だ。それを奪われるくらいなら、僕はこの命の終わりまで刀を振るいます」
「はぁ……。それなら尚更、俺の言いつけを守ってもらう必要がある。それだけは譲らん」
「仕方ないですねぇ」
「笑い事じゃないぞ! まったく」
「……この事、近藤さんや新選組の皆には言わないで下さいね? お願いしますよ」
「……ああ」
話し終えると、男は沖田を一人その場に残し去っていく。一人になった沖田は、その辺の木に座り込み、ぼうっと空を眺めていた。志摩子もまた、一人動けぬまま。じっと身体を縮め息を潜める。
けれど、彼を出し抜けるほど甘くもなかった。
「志摩子ちゃん、もう出ておいでよ」
「……っ」
「志摩子ちゃん」
沖田の声に、志摩子はそっと顔を覗かせる。沖田は自分の隣をぽんぽんと叩くと、志摩子に座るように催促する。俯いたまま、志摩子はゆっくりと近付いて隣に腰掛けた。
「あーあ、全部聞かれちゃった? やだな……」
「……」
「一番、君に聞かれたくなかったかもしれない」
志摩子はぎゅっと自らの手を握り締め、震える声で俯いたまま言葉を紡いでいく。