第17章 月
「おい、志摩子。大丈夫か?」
「はい……平気です。ご心配なさらないで下さい」
「すぐ済ませて屯所に連れて帰ってやる。大人しくそこにいろ」
土方はぐっと構えると、鬼のような形相で風間と対峙する。
互いに威圧し合いながら、睨み合う。
「どうしても邪魔をするというのか、貴様」
「それはこっちの台詞だ。何が迎えに行くだ笑わせんな! こいつに怪我を負わせておいて何を抜け抜けと! 男の風上にもおけねぇな」
「俺に説教とは、いい度胸だッ!!」
風間が先に斬りにかかる。土方も一歩踏み出すと、風間と剣を交える。動けない身体を何とか起こして、志摩子はただ二人を見守ることしか出来ない。
容赦なく剣を打ち込みながら、風間がふっと鼻で笑いながら土方を睨み付けていた。
「どうしたっ!? 攻めに来ないのかっ!」
「うるせぇなっ!! 攻めに行くだけが全てじゃねぇんだよっ!!」
風間の剣を受け、流し、反撃を加えながら徐々に土方は風間を志摩子から遠ざける。そして斎藤へと声を荒げ叫んだ。