• テキストサイズ

薄桜鬼 蓮ノ花嫁

第16章 傷



「あ、貴方達は!?」

「どうやら思っていたより、鈍くはないらしいな」
「なんでここに!? どうやって」

「我ら鬼に、人間が作った障害など意味をなさぬ」

「鬼? な、何をわけのわからないこと言っているんですか!? 私をからかっているんですか?」

「ほぉ……貴様、鬼を知らぬと申すのか」


 ゆっくりと風間は地に降りる。それを見た千鶴が警戒するように、腰にある小太刀に手をかける。


「我が同胞ともあろう者が……雪村千鶴」

「……どうして、私の名を……っ」

「貴様は並の人間とは思えぬほど、傷の治りが早くはないか?」

「……っ」

「池田屋の時と言い、天王山の時と言い……俺の目は誤魔化せんぞ」

「……っ、だったらなんだっていうんですか!」


 すっと、風間は千鶴へと手を差し出す。何のつもりかと、千鶴が戸惑うように風間を見上げた。


「貴様は我が鬼の大四家、東の鬼『雪村』の姓と小太刀を持つ貴重なる女鬼。俺と共に来い、所詮此処にいたところでお前のためにはならん。鬼と人間は相容れぬ」

「私は……っ」

「ふっ。お前に拒否権などありはしない、勿論……連れて行くのに同意も必要ではない」

「っ……!」


 風間が千鶴の腕を掴もうと、更に手を伸ばした。


 だが、二人を切り離すように刃が一線間を切り裂く。


「ふんっ、人間風情が……」

「よう、また会ったな風間」

「土方さん!」


 千鶴から風間を引き離したのは、土方だった。遅れて新選組の幹部がやってきて、千鶴を取り囲む。

/ 359ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp