第14章 艶
「羨ましい?」
「……そんなことはないぞ」
ほんと一君ってわかりやすいんだから。
「あーあ、手伝うの飽きちゃったなぁ。僕もう部屋に戻るね?」
「総司様。手伝って頂き、本当にありがとうございました」
「これくらい全然構わないよ。それじゃあ、後は一君宜しくね」
「ああ」
本当に眠くなってきちゃったから、僕は一足先にその場を立ち去る。少しだけ二人きりにして大丈夫だったのか、気になって振り返ってみる。
意外にも会話が弾んでいるように思えて、僕は意外だなって思った。あの一君が、凄く穏やかに志摩子ちゃんと話してるんだもん。千鶴ちゃんの前でも、あれくらい自然に話せたらいいのにね。まぁ、そこもまた一君らしいのかな。
「お腹も減ったなぁ。台所の棚に、確か土方さんが隠していたみたらし団子があったっけ」
「お、総司!」
「ん……? 近藤さん。どうかしたんですか?」
「棚にみたらし団子があった! 一緒に食わないか?」
「……。良いですよ、頂きます」
僕は含み笑いを浮かべながら、近藤さんのところへと歩いて行った。
ああ、ほんと眠いったらないや。