第14章 艶
「総司様、お手伝いをお願いできますか?」
「やっとその気になった? で、何をすればいいのかな」
「洗い終わった洗濯物を、干して頂けますか?」
「いいよ、任せて」
志摩子ちゃんが洗った物を、僕が次々に物干しざおに干していく。ああ、いい天気。眠くなってきたかも。干しながらあくびを噛みしめれば、すぐ傍でくすくすと笑う声が聞こえてくる。
「もう、なぁに? 今笑ったでしょ、志摩子ちゃん」
「ふふ、そんなことないですよ……」
「肩が震えてるけど? 笑いを堪えてるせいで」
「え!?」
「あははっ、嘘だよ」
「……! もうっ、総司様!」
「あははっ」
楽しい、本当に心から楽しいと思える。この時間が、ずっと続けばいいのに。
そうこうしている内に、更に追加で大量の洗濯物を抱えた一君が帰ってくる。
「むっ、総司も手伝いか? 珍しいな」
「誰かさんが全然帰ってこないから、僕がこうして手伝っていたんでしょ」
「そうだったのか……すまない」
「別にいいよ。その分志摩子ちゃんとお話が出来たからね」
「二人は仲がよいのだな」
本当にそう見えているのなら、いいのになって思う。でもね一君、僕よりもきっと土方さんの方が彼女と仲がいいと思うよ。