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お姉ちゃん大好き(黒子紫原ショタ夢)ライバルは赤司様

第1章 お姉ちゃんと一緒


「おね~ちゃんっ」
 敦君が涙目であたしに学校でだきついてきた。
「何があったの?」
 大きな体をあたしから話そうとしない彼にそう聞いた。
「行かないで~」
「え?」
 もう放課後だから、確かに帰らなきゃいけないけど。
 隣にはいつしか征十郎君がため息をついている。
「敦、さんが混乱しているじゃないか」
「だってだってぇ~」
 駄々をこねる敦君に、征十郎君がお菓子を渡す。
 それでも、それを敦君は受け取ろうとしなかった。
「引っ越すんでしょ? 」
「は?」
「もっぱらの噂ですね、知らなかったんですか?」
「……うん」
 まさか、お父さんお母さんがあたしに隠れてそんなことを考えているなんて……。
「寂しくなりますね」
「なりますねじゃね~し、寂しすぎるでしょ!」
「でも、もう決まってしまったことだから、子供のオレ達には何もできないよ」
「赤ちんの財力ならできるよね」
「できないことはないけど、するべきことではないね。オレは引っ越せるけど……」
「あーずり~」
 敦君が大きな声で叫ぶ。
 征十郎君……シャレにならないです。
「でもどこでそんな噂?」
「の家族が、大阪での住まいの話をしてたんだって~」
「不動産屋で」
「……な、なるほど」
 それは何とも真実味のある……。
 ……あたし、引っ越しちゃうの?
「手つなぎペア最後まで一緒がいいし~、ほかの人とかいやだし」
「オレもですね」
 敦君のほっぺはおもちみたいだ。つん、とつつくと拗ねてそっぽを向いた。
「おね~ちゃんとオレ、ずっといっしょだもんっ」
(か、かわいい……)
 めそめそと泣き出す敦君に、征十郎君はそっと頭をなでた。
「あまりさんを困らせるんじゃないよ」
「だってぇ~」
「ごめんね」
「うわあああん」
(困ったなア……)
 お父さんたちに、聞くのが怖いよ。
 あたしは残りたいって言ったら、聞いてくれるかな?
 生まれてこの方この東京で育って今更大阪とか、不安だよ。大阪じゃなくてもほかの県は不安……。標準語からかわれたりしないかな?
「とりあえず、今日はふたりと手つなぎペアして帰ろう」
 あたしを真ん中にして、いつも通り。
「うんっ」
「そうですね」
 こうして、あたしたちは学校を出る準備をする。
 あたしがまず靴をはきかえ、2人を待つ。
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