お姉ちゃん大好き(黒子紫原ショタ夢)ライバルは赤司様
第1章 お姉ちゃんと一緒
「いっくよ~!」
敦君が盛大な声を上げてスイカに向かっていく。
が、明らかにあさっての方向にぐいぐい進んでいく。このままではプールサイドに落ちてしまうんじゃないかと思うぐらいに。
「えいっ」
「痛いよ敦」
そして棒は征十郎君にコテンとぶつかった。
「えっ赤ちん!? ごめ~ん」
「わざとじゃないだろうね」
「そんなわけないでしょ~?」
「それにしても下手すぎる。力はお前が一番あるんだから、お前が割れ、敦」
「むっ、赤ちんなら百発百中じゃないの?」
「当たり前だろう。でもそれじゃあつまらないだろう」
たしかに、すんなり割れてもそれはそれで面白くないよね。
「にさせればいいのに」
「危ないだろう」
「えこひいき」
「ほら、あっちだ」
征十郎君は正しい方向へと敦君の体を向かせる。
そうして、無事敦君がスイカを割ってくれた。
正直、あたしもやってみたかったなあ。
でも、せっかくの気遣いは無駄にしちゃだめだよね。
「すいかおいしー」
「種は飛ばすなよ」
「ん」
口の周りいっぱいにスイカをつけて食べる敦君を征十郎君はたしなめる。
「おいしいね」
「そぉ~? オレの親戚がくれたんだよ~」
えへへ、と照れながら敦君が言う。
「今度おね~ちゃん家にもっててあげるしっまだまだあるから」
「ありがとう」
「オレの家にも、いっぱいあるさ」
征十郎君が対向してくるけど、彼の家は本当のなんでもありそう。
スイカもなんかすごい銘柄のだったりして。
「オレのがおいしいし!」
ね、と敦君があたしに同意を求める。
「きっとどっちもおいしいよ」
「む~……」
ふくれっ面の敦君は、抱きしめたいほどかわいい。
思わず膨れたほっぺたをつついたら、振りほどかれてしまった。
「のばかぁ」
「あはは」
「なんでもオレが一番だよって言ってよ」
かわいい、かわいすぎるよ敦君……。
「おっきくなって、かっこよくなったら考えてあげる」
「むー……」
個人的にはずっとかわいい敦君でいてほしいんだけど。だめかなぁ……??
征十郎君もそばに居て、かわいい弟たちが二人いるみたいな日常がずっと続けばいいのにな。