お姉ちゃん大好き(黒子紫原ショタ夢)ライバルは赤司様
第1章 お姉ちゃんと一緒
あたしのお店に、赤い髪の少年がやってきた。
利口そうで、品のいい服を着ている。
「ここが噂の洋菓子店か」
「いらっしゃいませ」
小さな体でウィンドウをのぞきながら少年はゆっくりと品定めするように商品を眺めた。
どれもおいしそうだね、とそばにいる黒服に話しかける。
「じゃあ、すべてにしようか」
「えっ」
思わず変な声が漏れた。
だって、すべてなんて注文してきたのは少年が初めてだったからだ。
「もちろん1日にではないさ。毎日順番に、届けに来てもらおう」
「あの、宅配はうかがってないんですが」
少年があたしをじっと見て不満そうに眉根を寄せた。
「……それは残念だね」
「すみません、でも定休日以外は毎日やっていますので……」
「僕に、来いと」
口角を上げて、少年は笑った。
「いいね、きっとここの洋菓子は美味しいだろう。においが格別だ。毎日学校帰りに撮りに着させてもらうよ」
「お客様、ご予約されるならお名前は」
あたしはメモをもって尋ねた。
「赤司征十郎だよ」
少年は優雅に答えた。
これが、征十郎君との出会いだった。