第34章 こたつ【土方十四郎】
昼食は冷蔵庫の余りものを使って種類豊富なプチサンドを作った。
これなら土方も仕事をしながら片手で食べられるだろう。
結局凛は土方が仕事に打ち込む姿も好きなのだ。惚れた方の負けってやつ。
今度お詫びに土方が顔を顰めるような可愛らしいカフェに付き合ってもらおう。それでチャラかな。
そんな事を考えながら温かいコーヒーも淹れ、サンドイッチとカップを土方の邪魔にならないように置いた。
「土方さん、置いときますね。」
「ああ、助かる。」
未だ書類とにらめっこしながらペンを走らせている土方を眺めつつ、自分の作ったサンドイッチを頬張った。
「(ん。美味しいじゃん。てきとうに挟んだだけのもあるけど、甘さ控えめで土方さんも好きかも、これ。)」
土方もサンドイッチに手を伸ばしていた。
まず手に取ったのは、今凛が食べていたのと同じ種類。
見ていると、一口かじった土方は一瞬手を止めてから残りを口に放り込むと、お皿の上の並んだサンドイッチを眺めて視線を彷徨わせた。
「(あ、やっぱり気に入ったんだ。)」
同じ味のサンドを探すその反応になんとなく嬉しくなった凛は、土方が見ていない隙にこっそりと自分の分を彼の皿に移し替えた。
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