第34章 こたつ【土方十四郎】
本日は日曜日。凛の仕事はお休み。
運良く恋人の土方も非番だったため久々二人の時間を過ごせることに。
いつもお互いに忙しいこともあり、今日は凛の家でゆっくりおうちデートとなった。
お昼は冷蔵庫の残り物で簡単にご飯を済ませて、夜はたまにはデリバリーでもいっか。今日はとことんだらけちゃおう!
なんてウキウキしていた凛。
だが訪れた土方は、少しすまなそうにカバンを抱えていた。
「悪ぃ。どうしても今日中に書かなきゃいけねえ書類がある。先にそれをやらせてくれ。」
そして今に至る。
凛の家のリビング、テレビの前のこたつで真剣な顔でカリカリとペンを進める土方。
凛は邪魔にならないよう、そばのソファで本を読んだり小さな音でテレビを眺めたりと時間を潰していた。
だがもうそろそろお昼ご飯の時間。
いい加減つまらなくなってきた。
「ねえ、土方さん。」
「……。」カリカリカリ
「ねえってば。そろそろお昼にしましょうよ。」
後ろからツンツンと背中をつつくと、振り返らずにようやく返事をした。
「あー…キリの良い所まで進めたいんだ。先に食っててくれ。」
「…分かりました。」
ちょっと不満そうに頬を膨らます凛。
もちろん土方は見ていない。
はあ、と小さくため息をついて、凛は昼食の準備をすべくパタパタとスリッパを鳴らしながらキッチンへと向かった。
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