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【銀魂】春夏秋冬【裏・短編集】

第32章 忘年会【土方十四郎】


屯所に着いてそのまま土方の部屋に連れて行かれ、すぐさま布団の上に寝かされた。



「おい。水は枕元に置いてっから。袋もあるから吐くならそこに吐けよ。」

「ぅあい。」

「寝る前に着替えとけ。制服は苦しいだろうからな。俺は風呂行ってくっから。」

「私も行くぅ。」

「酔いが余計回って倒れるだろうが。大人しく寝とけ。」

「ふぁぁい…」



土方が部屋を後にし、凛は置かれた水を口に含んだ。



「(面倒見いいな…さすが土方さん)」



酔っている割には思考能力はまだ保たれている。

だがどうにも体が怠くて、モソモソと着替えてすぐに枕に顔を突っ伏した。



「(…土方さんの匂いだ…)」



ほのかに香るタバコの匂いと土方の匂い。

昔は苦手だったタバコの匂いも、土方から香る分だけはむしろ好きになった。



「(…大好きな土方さん…忙しい中でも、楽しい事もいっぱいあったなぁ……)」



酔っているせいかセンチメンタルになっている。

初めて出会った時
初めてプライベートな姿を見た時
初めて笑顔を見た時
初めて泣きそうな顔を見た時

好きだと気づいた時
想いが通じ合った時
初めてデートした時
初めて肌を合わせた時

死線をくぐり合った日々
喧嘩したことももちろんあった



「(全部全部…本当に大切な思い出……大丈夫。来年からもこの思い出があれば頑張っていける…うん。)」



そんな風に思いを馳せていたら土方が戻ってきた。



「大丈夫か?」

「…ぅん。」

「じゃあもうゆっくり寝ろ。明日、そこそこの時間に起こしてやるから。」



そう言って軽く荷物の片付けを始める土方。

凛は虚ろな目でそれを眺めていた。



「(あー…やっぱりカッコいいなぁ…とられたくないなぁ……)」



男らしい背中や刀を握る手、ほどよく血管の浮き出た腕にサラサラな髪

飽きる事なく眺めている間に土方の片付けも終わる。



「おま、寝ないのか。」

「まだ眠くない…です…」

「だからってジロジロ見んな、恥ずかしい。」



そう言って少し照れる顔が愛しくて、凛も自然にフッと笑った。


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