第32章 忘年会【土方十四郎】
近藤さんが離れた後、真選組の仲が良い隊士達が話しに凛の元にやってきた。
「凛さああぁぁん。寂しくなります…凛さんのお陰で最近は副長の機嫌も良かったのに…」
こんな時でもあんぱん片手に飲んでいるのはさすが山崎。
「土方さんが厳しいのは愛情の裏返しだよ、ジミー。来年からもあの人をよろしくね!」
「誰が誰によろしくされるって?あ?ミントンでもしてろ。」
「ふ、副長ぉぉ⁉︎し、失礼しまあああぁぁぁす‼︎」
「もう、せっかく話してたのに割り込んでこないでくださいよ。」
「てめ…俺、一応彼氏だぞ。」
愛しい土方さんが隣に来てくれた。
嬉しく無いはずがない。
みんなの前ということもあり、凛は少し恥ずかしくて半ジョッキを一気に飲み干した。
「いい飲みっぷりですねぃ。」
「あ、沖田さん。ありがとう。」
凛は沖田が持ってきた新しいジョッキを受け取った。
「凛さん、ついでにマヨも持ってってくれてよかったんですぜぃ。」
「おい、隙あらば俺を失脚させようとすんじゃねえ。」
「いやいや、このままだと土方さんが厳しくて隊士に殺されるんじゃないかって心配してんでさぁ。わー、俺優しー、いい部下だー(棒)」
「殺しにきてんのは主にお前だろうが!」
このノリももう見れなくなるのかぁ…
顔は笑っているが、凛の心がチクリと痛んだ。
「土方さんは私と違って副長っていう大役だから!仕事バリバリ頑張ってもらわないとね‼︎私みたいな下っ端警察官の仕事が増えちゃう。」
「たしかに。鬼の副長には死ぬほど働いてもらわねえとですねぃ。」
「…なんか、文字通り『死ね』と言われてる気がするんだが…ていうかてめーはもっと自分の仕事をちゃんとしろ。」
「何言ってんですかい、土方さん。俺はいっつも土方さんを支えてるじゃないですか。」
「お前の場合、支えるんじゃなくて邪魔してんだろーがっ!」
「わーひどーい(棒)部下の頑張りを無下にする鬼がここに一人いるー(棒)凛さん、向こうでこんなのより良い男ちゃんと見つけてくだせい。」
「わかった!」
「おい‼︎」
楽しい時間はどんどん過ぎていった。
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