第29章 反乱【阿伏兎】
「夜兎には効かねえって話じゃなかったのか。」
事態が収まってすぐ、俺は凛の部屋に向かった。
「改良してみたの。」
「改"悪"の間違いだろうが。」
「どうしたのよ。怒ってるの?」
俺は凛を壁まで追い詰めると、片手を壁に、もう片方の手は凛の首にかけた。
全力で戦ってる最中でもないのに命を奪われかけた仲間
夜兎にとってはものすごい屈辱だ
「私を殺す?」
「……いや、どこに何を仕込んでるか分かりゃしねえからな。お前さんは。」
コイツは分かっている。
俺が殺せない事を。
くそっ…こいつを廃人にするには…
「犯す?」
「………しねえ。」
間が空いたのは、少し頭をよぎったから。
「媚薬もあるわよ?私特製の。」
「いらねえ!お前が作ってる薬なんざロクなもんじゃねえだろ!!毒かもしれねえし、最中に殺されるとか真っ平ごめんだな。」
「あら、私も人並みに性欲はあるわ。いつも人殺す算段立ててる訳じゃないの。気持ちいい事も大歓迎だけど?」
「しねーよ。」
「あら残念。」
もうすっかり凛のペース。
多分、何を言っても伝わりはしない。
俺は首にかけていた手を放した。
その時ふいに
― チュ ―
「その気になったらいらっしゃいな♪」
唇に軽いキスをされた。
提督の愛人のくせに…何言ってやがる…