第29章 反乱【阿伏兎】
食堂で夕食を食べながら、俺は凛をどうやって始末したらいいか考えていた。
「(提督の愛人だしな…普通に殺したら俺らの立場がマズくなる…)」
おそらく、生ける屍のように出来たら一番良いのだろう。
「(あー…どーすっかなぁ…)」
俺は目の前のカレーを口に頬張った。
すると、そこで目の前の団員が俺に話しかけてきた。
「阿伏兎さん…」
「ん?何だ。」
「い、息が………が…っ!」
「っ!?どうした!!」
目の前の団員はいきなり喉を押さえながら泡を吹いて倒れた。
そして……鼻血もタラリと流れている。
周りのやつらは慌てて騒ぎだした。
「(この症状……まさか…)」
その時、医療事務も担当している凛が現れた。
誰かが呼びに行ったのだろう。
「ちょっと、どいて。」
「ま、凛さん…こいつ、助かりますか?」
「とりあえずこの薬をこの人に飲ませて?」
「は、はい…」
周りのやつらは知らないし分からないだろうが、おそらく今回のこの事件の元凶は…コイツだ。
「……ぅ…がはっ!ごほっ!」
「息を吹き返したぞ!!」
「良かった。」
無邪気に喜ぶ仲間の傍ら、俺はジッと凛を見据えた。
そして俺の視線に気づいた凛は、こっそり俺に向けてウインクをした。