第28章 別れの日【土方十四郎】
程なくして、ミツバは息を引き取った。
「安らかにお眠りください……今までお疲れさまでした。」
もう涙は出ない。
自分より泣きたい人がいるだろうから。
見渡せば副長の姿はない。
凛は屋上へ向かった。
屋上の扉に手をかけようとしたと同時に扉は開いた。
出てきたのは万事屋の坂田銀時。
「おめーは…マヨの小姓か。」
「はい。この度は真選組が色々とご迷惑をおかけしました。」
頭を下げると銀時は柔らかい笑みを浮かべて凛の頭をクシャリと撫でた。
「気にすんな。いつもの事だ。それより……側にいてやれ。」
肩越しに見えたのは、フェンスにもたれながら外を眺める副長の後ろ姿。
銀時に軽く会釈をし、凛は屋上に足を踏み入れた。