第28章 別れの日【土方十四郎】
真選組の他の隊士達は出払っていた。
皆、ミツバの付き添いで大江戸病院にいたのだ。
そしてミツバはもう…長くない。
「蔵場の見張りなら俺がします。副長は行かなくて良いんですか。」
「何で俺が行かなきゃなんねーんだ。近藤さんもいる。大丈夫だろ。」
真選組のパトカーの前席の会話に、凛はそっと目を瞑った。
多分、沖田さんの次にミツバさんの側にいたいのは土方さん。
本当は、側にいて声をかけてあげたいんだと思う。
この人は何でこんなにも自分の心に鬼になれるんだろう。
凛には、色んな感情が土方の体の中でグルグルと巡り、今にも爆発しそうに見えた。
「なんて危うい人…」
呟いた言葉は二人の耳には届かなかった。