第27章 お化け屋敷【沖田総悟】
沖田は凛の手を掴んだまま、無言でお化け屋敷を出た。
「沖田さん、あり、ありがとうございます…ひっく…」
凛はまだ恐怖が収まっていなかった。
だが、凛を迎えに来て以降、終始無言な沖田に不安を抱えてもいた。
「(何か怒ってる?)」
涙も収まり、少し落ち着きを取り戻した所で二人はベンチに座った。
正しくは、沖田に座らされた。
「沖田さん?…何を怒ってるんですか?」
「怒ってねぇ。」
「いや、怒ってるでしょ。」
「怒ってねぇって言ってんでさぁ。」
「じゃあコッチ向いてくださいよ。」
少し間を置いて向けられた顔からは、ハッキリと「不機嫌」がうかがえた。
「眉間に皴寄ってますよ。私、何かしましたか?」
「……俺に遅れてんじゃねぇ…」
「私がお化け屋敷苦手なのはご存知でしょう!…置いて行かないでくださいよ。」
今回は沖田さんのせいでもあるんだから!
と、凛は膨れっ面。
だが沖田は少し呆れた顔をしていた。
「……こいつ……本当にアホ……」
「何です?ハッキリ言ってくださいよ!」
沖田は呆れたように頭を抱え、大きくため息をついた。
そして指の隙間から片目だけ凛に向け、小さな声で呟いた。
「……お前は俺のモンでぃ。気安く他の野郎に触らせんな、バカ犬……勝手に離れてんじゃねぇ……」