第24章 進路相談【坂田銀八】
「俺ね、さっき、凛に嫌われてんじゃねぇかって思って、ついつい行為中に柄にもなく甘い事いっぱい言ったんだよ。」
「え?」
「お前、全然声に出さないし。正直、怖くなって必死に口説いてたつもり。」
怖く…なった…?
「ちくしょー…こんな事言わせやがって……一回り以上離れたおっさんが、可愛い彼女に嫌われまいと必死なの!」
そういう銀八の顔は心なしか赤い。
「これが今日の俺の本音。だから凛も話せ。お前の素直な気持ち。どんなんでも俺は聞くよ。嫌いになんかならねぇから。」
真っ直ぐで正直な銀八の言葉は、凛の胸にスッと降りてきた。
ここでもまだ黙りは…卑怯だ。
ついに凛は重い口を開いた。
「…これから先…私の隣に先生はずっといてくれますか?」
「ん?どゆこと?」
「あながち、先生のお嫁さんになりたいというのは冗談ではないんです…。」
「……ああ!面談の時のね。」
「本気で思ったんです…。」
「なるほどね…お前は、俺がいつか別れるつもりでいるから、面談の時のあの回答を拒否した、と思ってんだな?」
「……はい…。」
重い女、面倒臭い女と思われたかもしれない。
凛は泣きたくなった。