第24章 進路相談【坂田銀八】
「ちょっと待て。」
そう言うと、銀八は持ってきた鞄を引き寄せてゴソゴソと中を探った。
「あれ?確かここに入れたと…あ!あった、あった。これ、これ。ほらよ。」
そして取り出した物を凛の手のひらに置いた。
「これは…?」
「合鍵だ。俺の新しい引っ越し先の。」
凛は目を丸くした。
そんな凛の頭を撫でながら恥ずかしそうに銀八は話した。
「本当はな、お前の卒業式に渡すつもりだったんだよ。卒業すれば…教師と生徒じゃなくなる。お前にその気があるなら…その…同棲してもいいと…思ったんだ…。」
「どうせ…い…?」
「そ。ま、お前が俺と恋人で居続けたいなら、の話だがな。」
つまり、凛の心配は杞憂だったという事。
銀八はちゃんと凛との未来を考えてくれていたのだ。
「でも進路の話は別だ。お前の人生だ。悔いのない選択をしろ。俺はお前がどんな道を選んでも、ちゃんとそばにいるからよ。」
その言葉は凛の胸のわだかまりを綺麗に払った。
ようやく凛は心から笑うことが出来たのだった。
そして二人は誓うかのようにキスを交わした。
願わくは二人の愛が永久に分かたれんことを