第24章 進路相談【坂田銀八】
「え…先生?」
「風呂上がりのお前、何か色っぽいし。お前のために急いでここまで来てやったんだ。こんくらいのお礼はしてもらわねぇと。」
「そんな…こじつけじゃないですか…」
「別にいいだろ。それとも、嫌?」
拗ねた犬のように聞かれると、嫌、なんて言えなくなる。
「ズルい…」
「いーんだよ。恋人なんだから。」
恋人
その台詞に凛は一瞬ギクリとした。
それは昼の面談の件があったから。
だがそんな凛の気持ちに気づかず、銀八は着々と凛を脱がせていく。
「…なんか、犬の視線が気になるな…シッ、シッ。あっち行け。」
凛の上に跨がりながら手で犬を追い払おうとするが、犬は全く動かない。
「おい凛、この犬どうにかしろよ。」
「……ワンちゃん。ちょっと向こうの部屋で待ってくれないかな。ごめんね。」
言葉が通じたのかは分からないが、犬はゆっくりと部屋を出ていった。
「(あのクソ犬…凛の言うことは聞いて、俺の言うことは聞かねえのかよ…)」
たかが犬、されど犬
犬にすら少し嫉妬心を覚える銀八であった。