第23章 お使い【高杉晋助】
だが数ヵ月経った今、状況がだいぶ変わっていた。
高杉は時間が空く限り、夜には凛を部屋に呼び出していたのだが…
「(ここしばらく…呼び出されてない………いやいや!期待してるとかそういうのでは無くてっ!!)」
ただ…
いつも傍にあったものが無くなると……恋しくなる。
「(忙しい…んだろうな…)」
そもそも恋人ではない。
それに高杉は鬼兵隊のトップ。
忙しくないわけがない。
むしろ今まで凛に構う時間があったのが奇跡的なくらいだ。
「(そういえば最近、お偉いさんと手を組んだとか噂聞いたな。一橋…だっけ?)」
もしかしたら…接待とかで美女に会って……
「(……もう考えるの止めよ…)」
そう思って肩を落とした時。
「おい。」
後ろから肩を叩かれた。
「…はい?…って、高杉さん!お帰りなさい……?」
「なんだ。出掛けてたのも知らなかったのか。」
「…すみません。」
出掛ける時に言わないと分からないじゃないですか。
でも…私みたいな下っ端に一々言うわけないか…
「まあいい。お前に一つ頼みたい事がある。」
「何でしょうか。」
「このメモに書いた物を買ってこい。まだ船は停めておく。」
「お使い、ですね。分かりました。」
メモを受け取り、凛は買い物に出掛けるべく踵を返した。